那須水害

 余笹川、黒川、四ツ川、三蔵川。これらの川を初めて見る人は、かつての被災の爪痕を見いだすことが難しいでしょう。今ではきれいに整備され、自然の風景そのものです。しかし、これらの川の流域では、かつて大規模な水害が2年連続して発生しました。余笹川、黒川、四ツ川の流域では平成10年8月に、三蔵川の流域では平成11年7月です。
 ここでは、特に甚大な被害が発生した、平成10年8月の水害を紹介します。この時栃木県の北部では、余笹川、黒川、四ツ川などが氾濫し、那須町、黒磯市を中心に各地で交通や通信が分断され、死者、行方不明者6名を含む多くの人が被災しました。
 雨が本格的に降り出したのは、8月26日午後10時過ぎでした。1時間に20ミリを超える雨(人がどしゃ降りと感じる雨)が連続7時間も降り、特に8月27日午前1時から2時までの1時間には、時間雨量90ミリという猛烈な豪雨となりました。
 那須地域の年間降水量は約1,800ミリですが、この4分の1が12時間で、3分の2が5日間で降ったことになります。この時の日雨量607ミリは、確率統計上、4000年に1度の雨と言われています。
<写真−1>
 この写真は、8月27日早朝の国道294号余笹橋を左岸から撮影した光景です。洪水の勢いが凄いため、洪水が橋の欄干を乗り越えています。この写真を撮影している間も水嵩が増え続けて危険が増大したため、撮影者も避難しました。
<写真−2>
 8月27日早朝の余笹川の状況です。遙か遙か向こうに見えるのが橋です。川幅は何倍にもなり、道路も水没してしまいました。
<写真−3>
 8月27日早朝の町道中余笹橋の状況です。濁流が橋の上を流れています。運動公園のブロック積は崩壊しており、橋梁の一部は既に流されてなくなっています。
<写真−4>
 8月27日に、写真−1と同じ場所を反対側から撮影した状況です。国道294号の余笹橋付近の道路は流され、橋梁付近にあった家屋は余笹川の洪水に飲み込まれてしまいました。右奥の建物はJAの倉庫ですが、洪水により半壊となっています。橋に残る流木が洪水のすごさを物語っています。
<写真−5>
 8月27日の県道大田原芦野線の寺子橋付近の様子です。道路が流失しており、電柱は無惨にも折れ曲がってしまいました。写真右奥の家屋や牛舎は軒並み浸水しました。
<写真−6>
 8月27日の国道4号付近の状況です。余笹橋は洪水により落橋し、対岸のガソリンスタンドの建物は潰れてしまいました。橋に残る流木からここでも洪水は橋を越えていたことがわかります。
 <写真−7>
 8月27日の国道4号の四ツ川付近の様子です。国道4号を挟んで田圃が川になってしまいました。洪水の勢いで道路にあった大型トラックが田圃の奥に流されてしまってます。

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